栄養塩が増えすぎた川・湖・海の水質改善をご検討の皆様へ
窒素・リンが増えすぎた湖や湾、川では、アオコや赤潮、底層の貧酸素化が起こり、漁業や観光、水の利用に影響します。ノベルジェンは、水域や流入河川の水を取り込み、閉じた装置の中で選んだ微細藻類に窒素・リンを取り込ませてバイオマスとして回収し、処理した水を戻す技術を研究開発しています。
この業界の相談をする現在の開発段階
研究開発段階(共同検討パートナー募集)
水域の水を閉じた装置で処理し、栄養塩を藻類に回収させる使い方は、研究開発の段階です。実際の水域での効果は、これからの評価で確かめます。まずは水のサンプルでのラボ評価と、水域の管理者・自治体・漁業関係者の皆様との共同検討から始めます。
この業界の課題
アオコ・赤潮の発生
窒素・リンが増えすぎた湖や閉鎖性の湾では、藻類やシアノバクテリアが大量に増え、アオコや赤潮が起きやすくなります。毒素をつくる種もあります。
底層の貧酸素化
増えた藻類が沈んで分解されるときに底層の酸素が使われ、魚介類が生きにくい水域が広がります。
漁業・観光・水の利用への影響
養殖魚介の被害、景観や臭いによる観光への影響、飲み水の水源としての質の低下などが生じます。
発生源が多く、対策に時間がかかる
栄養塩は生活排水・農地・畜産など多くの発生源から流れ込むため、発生源ごとの対策には時間と費用がかかります。
根拠と公開情報
富栄養化によって藻類やシアノバクテリアが大量に増え、生態系や漁業・観光・飲み水に影響すること、沿岸の富栄養化が底層の貧酸素化を広げていることは、査読文献でレビューされています。富栄養化を抑えるうえで窒素とリンの両方の管理が論じられています。微細藻類が水中の窒素・リンを取り込んで増えることは、排水処理の分野で広く報告されています。ただし、湖や海の水は排水に比べて栄養塩が薄く水量が多いため、この用途での効率は、当社が個別の評価で確かめる必要があります。
参考文献
- Huisman J., Codd G.A., Paerl H.W., Ibelings B.W., Verspagen J.M.H., Visser P.M. Cyanobacterial blooms. Nature Reviews Microbiology, 2018, 16(8), 471–483. doi:10.1038/s41579-018-0040-1
- Anderson D.M., Cembella A.D., Hallegraeff G.M. Progress in understanding harmful algal blooms: paradigm shifts and new technologies for research, monitoring, and management. Annual Review of Marine Science, 2012, 4, 143–176. doi:10.1146/annurev-marine-120308-081121
- Diaz R.J., Rosenberg R. Spreading dead zones and consequences for marine ecosystems. Science, 2008, 321(5891), 926–929. doi:10.1126/science.1156401
- Conley D.J., et al. Controlling eutrophication: nitrogen and phosphorus. Science, 2009, 323(5917), 1014–1015. doi:10.1126/science.1167755
- Mohsenpour S.F., et al. Integrating micro-algae into wastewater treatment: A review. Science of the Total Environment, 2021, 752, 142168. doi:10.1016/j.scitotenv.2020.142168
導入・PoC の進め方
- STEP 1
ヒアリング
対象の水域、困っていること(アオコ・赤潮・貧酸素など)、流入する河川や排水、これまでの水質調査を伺います。
- STEP 2
ラボ評価
水域や流入河川の水のサンプルで、選んだ藻類が育つか、窒素・リンをどこまで取り込めるかを確かめます。
- STEP 3
試験の計画
取水・放流の方法、設置場所、必要な手続きと関係者との調整を含めて、小規模な試験を計画します。
- STEP 4
小規模試験と評価
閉じた装置で試験を行い、水質の変化と、回収したバイオマスの成分・安全性を評価します。
ご準備いただくもの
- 対象の水域の水質調査データ(全窒素・全リン・クロロフィル a・溶存酸素・水温など、お持ちの範囲で)
- アオコ・赤潮の発生状況(時期・場所、わかれば原因となる種)
- 水のサンプル(水域・流入河川など)
- 設置を検討できる場所と、取水・放流・電源の条件
- 調整が必要な関係者(水域の管理者・漁業関係者など)
よくある質問
- アオコや赤潮を直接取り除く装置ですか?
- いいえ。発生したアオコや赤潮を集めて取り除く装置ではありません。その原因となる窒素・リンを、閉じた装置の中で選んだ藻類に取り込ませて回収することをめざしています。
- 藻類が水域に逃げ出すことはありませんか?
- 藻類は閉じた培養槽の中で育て、水域には放流しません。処理した水は藻類を分けてから戻すことをめざしており、分ける方法と確かめる手順は試験の中で評価します。
- 毒素をつくる藻類を培養することはありませんか?
- 使うのは毒素をつくらないことを確かめた株で、毒素をつくるシアノバクテリアは培養しません。取り込む水にはもともとさまざまな藻類が含まれるため、前処理と監視の方法も評価の対象です。
- 回収した藻類は飼料になりますか?
- 用途は、取り込んだ水の性状と、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律・肥料の品質の確保等に関する法律などの基準をもとに決めます。重金属などを分析し、基準に合う用途だけを検討します。自然に発生したアオコや赤潮を集めて飼料にすることはありません。
- どのくらい水がきれいになりますか?
- アオコ・赤潮の原因となる窒素・リンを減らし、回収した栄養塩を資源として使うことをめざしています。効果の大きさは、処理できる水の量と、水域の大きさや流れ込む栄養塩の量で決まります。現時点で数値はお示しできません。
- すでに実績はありますか?
- 現在は研究開発段階です。水のサンプルでのラボ評価からの共同検討を受け付けています。
※ 本ページは公開情報に基づく概要です。藻類株・培養条件・個別の試験データなどの技術情報は、秘密保持契約(NDA)の締結後にご案内します。